新譜とショッピングカートとオムツ

永く、苦しいアレンジ―ミックス作業が終わって、マスタリングも無事に完了した。嬉しい。
この作品は掛け値なしに素晴らしい!と言いたいところだけど、
もう5万回ぐらい聴いているから、それが良い出来なのかどうか、判断ができない。
あるいは、想像力の欠片も見当たらない代物かも。
だから一度聴いてみて、忌憚のない意見をきかせてもらえると嬉しいです。

http://www.ngatari.com/japanese/discography/


さて、マスタリング、プレス費等によって相当お金がなくなったので、最近の食卓は非常にマッタク侘しい。スーパーの売り場の風景がいつもと違うの。商品が進化したわけじゃなくて、値段が高くて、どいつもこいつも手がでない。128円のトマトがすんごく高貴に、ワンダフルに見える。仕方がないので、鰆を諦めて鯵をカートに放り込み、椎茸の代わりに舞茸を、牛肉なんて手がでないので、鳥のささ身。長ネギやら豆腐やらを辛気臭く見繕う。いっちばんやっすい発泡酒、異例の抜擢。品質やら安全などという言葉とはついに無縁のカートを持って、帰路につく。買い物がつまらないというのは、料理をしたり食べたりするときよりもフィジカルに堪える。あーつまらん。
ところで、他人のショッピングカートのなかを覗くというのは、なんとなく気恥ずかしいと思いませんか?何か、他所の家のキッチンやら、食卓やら、生活スタイルまでも想像できてしまって。背徳感って言ったら言い過ぎだけれど。


時間が出来たので映画を見たり本を読み漁ったり、つまらん党首討論を眺めたりしながら、2、3日を惰性のうちに過ごす。毒にも薬にもならないテレビ番組を見ていて、CMが気になりだした。

オムツのCM。彼らオムツ業界(そんなものがあるのかわからないけれど。)は、オムツを従来のものより通気性が優れていて、おしりがかぶれないものにしようと切磋琢磨しているけれど、果たして、「赤ちゃんがおしっことかうんちとかしたままの状態でも全然苦にならないレベル」を向上させることが良いことなのかどうか、疑問だ。オムツ離れを遅らせる遠因になりうるのでは・・・とか思ったり。

あと、ニコレット。煙草の会社が遠くで糸ひいているような気がしてならないのだけれど。喫煙と禁煙の無限ループを作っているような。自省(フリでもいいけど)というのは、世間に聞こえがいいし。

そういうの多いよね。
お金は借りすぎないでと釘をさす金融機関だとか、転職を成功させまいとするリクルートとか(彼らは就職のモチベーションをあげて労働のモチベーションを下げるスペシャリストだと、内田樹先生がうまいことをいっていたきがする。)まぁ挙げたらキリがないんだが。


映画もだいぶ観る。

蛇イチゴ」を観た。「ゆれる」を観たときに、役者の力だと思っていたけれど、監督・西川美和はさんの作品はいいなーやっぱり。終わりまで(終わっても)関係をはっきりさせずに保留にしておく歯切れの悪さがなんともいえない。
「結局どうなったの、あの人たちって・・・」という?付きの後味と、音楽とストーリーの緩急が素晴らしい。なんとなくジブリにもそういう決然としない"勇敢さ"ってある気がする。
ゆれる」や「蛇いちご」に登場する兄弟もそうだけれど、人間関係って、そんなにキッパリスッキリしていないよね。もっと曖昧で、そしてこの映画のようにパセティックだよね。


子猫を拾った。名前を「そばつゆ」か「赤カブ」かで半日悩む。